A.本当にやりたい看護なのか答えが出ず、モチベーションが低いままだった

私は看護師になった当初は、あれがしたい、これがしたいという思いはありませんでした。配属に関しても漠然と内科という程度の希望しかなかったため、神経内科の障害者病棟に配属となりました。慣れないひとり暮らしや、同じ科に配属になった同期が一人もいなかったこともあり、仕事を始めてしばらくは孤独を感じることが多かったです。

仕事に対する面白さを見出すことができず、モチベーションが低いまま3年目まで続けていました。その頃に3年目研修があったのですが、そこで同期と比べてそれほど成長していない自分を痛感しました。私の所属する病棟は慢性期で、同じ看護の繰り返しのようなことが多い病棟ではあるのですが、やはりその時は辛かったです。そのときに自分が本当にしたい看護というのはどういうものなのか、ということを真剣に考えてみたのですが、答えが出ませんでした。加えて、リーダーや委員会の役割といった責任も増えてきて、それも重圧となって、当時が一番看護師を辞めたかったと思います。

B.師長の勧めで栄養サポートチーム(NST)のメンバーとして勉強開始

4年目のときに師長の誘いで、栄養サポートチーム(NST)のメンバーとしての勉強を始めました。NSTは職種の壁を超えて、患者さんの栄養状態を管理する多職種のチームのことです。私の所属するNSTは学会で発表する機会があったのですが、私もその発表に参加しました。私たちのチームは、もう食べることが出来ないと診断された患者さんの「最後まで自分の口から食べたい」という思いに寄り添って関わり続けていった事例について発表しました。学会発表の達成感はとても大きく、そのころからなんとなく目標が見えてきた気がしました。

所属病棟はあまりNSTが積極的に関わってはいなかったので、私がNSTの一員として学んだことを活かして、普段から患者さんの栄養状態について栄養士さんと密にコミュニケーションを取って連携するようにしています。

C.実習指導者研修に参加学生や後輩指導にも手応え

5年目にはやはり師長の勧めで、実習指導者研修に参加しました。現在は病棟で学生や後輩の実習指導者をしています。学生時代に私自身が実習で行った病棟はとても威圧的な雰囲気で、正直学生にとって学びやすい環境ではありませんでした。私自身がそういう経験をしたので、できる限り学生に対してオープンに接するように、「学生」という身分ではなく、一人ひとりを名前のある病棟の一員として対応するように病棟のスタッフに伝えています。

看護師を始めた当初は自分が何をやりたいのかわかりませんでしたが、現在では障害者病棟の仕事でも、難病患者さんや家族との関わりの奥深さに気付き、やりがいを感じています。これからはもっとNSTや実習指導についての知識を増やしたいと思っていて、まずはNST専門療法士の資格取得に向けて勉強しています。